2013年04月28日

ダーツバレルに於けるコーティング考。

さて。

coating_barrels.jpg大体調べていた事が纏まってきたので、今回はコーティングについての話です。
以前にS-DARTSのDLCコーティングバレルを入手して、手にした感想などを述べましたが、今回はその補足的なモノと私的な考察だと思ってください。

あと、長くなりますし、読んだところで何の役にも立たないので、そのつもりでよろしくお願いします。

現在、ダーツバレルに施されているコーティングの多くは、大別するとTi(チタン)系かDLCの2種類です。
※TARGETの一部バレルで使用されている、ジルコニウムはチタン系の金属ですので、大まかな意味ではTi系と言えます。シリカは珪素系のコーティングで、ガラスコートに近いものと言えますね。これに関してはちょっと特殊と言って良いかも知れません。
余談ですが、UNICORNのラチナムタングステンは、トレッキー(スタートレックのファン)ネタです。

閑話休題。

まずはTi系のコーティング。
一般的なゴールド色のコーティングの場合、多くは、と言うか殆どはTiN(窒化チタン)コーティングだと思われます。
比較的古くからある、タングステンに代表されるような硬質材料に適したコーティングですので、品質的にも安定しています。今となっては他にも優れたコーティングがあるので、最も安価に施せる表面処理の一つのようです。

TARGETやUNICORNのラインナップに見る事が出来る、ブラックコーティングは、TiAlN(窒化チタンアルミ)コーティングというモノで、国内でオーダーメイドを受け付けているバレルメーカー(King's JapanやSengokuAxial)で、バイオレット色のコーティングも、これに該当すると思われます。
特徴としては、TiNコーティングに比べ耐磨耗性能と硬さ、耐酸化性に優れています。

次にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングですが、これに関しては調べれば調べるほど、よく判らなくなってきます。
とても大雑把な言い方をすると、種類・品質・特性。どれをとっても安定しません。
コーティングを請け負う様々な企業のwebで資料を拝見しましたが、なんと言ったら良いのでしょうね、『モノによる』としか云い様がない気がします。

まずDLCがどう云うモノかですが、炭素、又は炭化水素のアモルファス(非結晶)コーティングです。
言葉通り、『ダイヤモンドの様な(似た)特性を持つカーボン(炭素)』のコーティングなのですが、ダイヤモンドが炭素の結晶の一つの形であるのに対して、結晶構造を持ちませんから、それこそ文字通り『似て非なるモノ』と、まずは捉えて下さい。
工作機械、躍動部品などに対する特性としては、耐摩耗性、低摩擦係数、耐腐食性、高安定性等、非常に優れた特性を数多く持っています。

Ti系のコーティングと比較した場合、非結晶構造の為(Ti系は結晶構造)、母材に対する密着性や平滑性に優れているようです。
多くの場合、ブラック系のコーティング色ですが、JOKER DRIVERのプレミアムモデルやS-DARTSで行ったような)やDMCのブロンズのような茶褐色もできるようです。
※DMCのブロンズはカタログにはDLCコーティングと明記されています。

さて。
ここで問題になってくるのが、どう云ったDLCコーティングがダーツバレルに適しているか、又はTi系とDLCのどちらが良いのかですが。

正直な処、メリットは無いとは云いませんが、どれを施してもほとんど同じです。
先にメリットを挙げておきますが、メンテナンスの容易さが挙げられると思います。
DLCはもちろん、どちらのコーティングも裸のままの金属に比べて耐腐食性が高いので、手汗ですぐにバレルが腐食してしまうような方は、コーティングされたバレルを使用すれば、比較的長持ちさせる事が出来るかも知れません
他には、チタンもダイヤモンド(炭素)も、人体に刺激の無い素材ですので、金属アレルギーの方にも安心です。

恐らく誰もが気にしているであろう、耐久性の話は、少し横に置いておくとして、私が問題にしたいのは『手触り』です。
まず、高品質なコーティングである事が前提であれば、Ti系はタングステンと比べた場合、若干の滑らか感はありますが、極端に滑るような手触りの変化は無いと思われます。
対するDLCですが、ブラック等の濃色系は比較的TiN系や、TiAlN系に近い手触りになると思われます。
これはどちらかというと、ダイヤモンドよりもカーボンに近い特性を持つのが理由です。

問題は、虹色等の干渉色や、透明に近いコーティングのモノ。
コーティング加工メーカー複数社のWEBを確認する限りは、透明に近いDLCの方が、特性がダイヤモンド寄りになり、コーティングの硬度は上がるようですが、それと同時に摩擦係数が極端に低くなっていきます。
つまり前回の感想、ヌルヌルのツルツルの理由です。

カットの強いバレルであれば、むしろ幾分マイルドな手触りになって良いかも知れませんが、カットに頼らず投げるような形状のバレルであれば、場合によっては非常に投げにくく感じる可能性はあります。

ちらっと硬さの話がでましたが、とあるメーカーでDLCコーティングモデルの宣伝文に『ダイヤモンドに近い硬度の』と、書いていたりしますが、あんまり関係ないと言うか、意味が無いと思います。
ちなみにWEBで調べれる限りの情報では、ダイヤモンドの硬さ(ビッカース硬度)は、5,000〜10,000と、非常に幅広く、しかもオチとして『ビッカース硬度自体が、ダイヤモンドを使って測るので、ダイヤモンドにビッカース硬度は当て嵌まらない』と言う文言まで発見したり…
余談ですが、このビッカース硬度、純タングステンは、3,430。ダーツバレル用のヘビーアロイはタングステンの割合にもよりますが2600前後、Ti系のコーティングは1,000から3000前後です。DLC系は2,000前後のモノから、3,000オーバーまで幅広いですね。

で、皆さんが硬さから連想し、期待するであろう耐久性の問題を最後にお話しますが。
まず肌感覚としての耐久性。
通常のバレルの1.5倍近くは、同じ手触りで投げられると思っています。
これは、私自身がDMCのExplorerのノーマルを使い潰した後にBronzeを使用しての感想です。

ただ、剥げますよ?間違いなく。

ちょっと良く考えてくださいね?
どれだけ硬かろうが軟らかかろうが、同じ硬さのモノが当たれば、必ず削れます。
グルーピングによるコーティングの剥離は、使用者が上手ければ上手いほど、早く訪れます。

こればかりは、どうしようもない事です。
理解した上ですぐ剥げるだの何だの騒いでいるのなら良いのですが、こう言った話では、どうも根本的な原則を理解している人が少なく見えます。
尤も、理解している人は騒がないので、目立たないだけなのですが。

まぁ、何が言いたいかと言うと、物事を理解した上で道具を使えば、いらぬ事で感情的にならないで済みますよと言う事です。

ここまで長々と書いては見ましたが、現実問題として、現状コーティングモデルはプレミアム感先行で販売されていますから、材質や素材で選べる日が来ない事には、ただの落書き以外の何モノでもないですからね。


posted by note. at 23:59| 奈良 | Comment(4) | TrackBack(0) | 私的バレル観 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>同じ硬さのモノが当たれば、必ず削れます。
これをどれだけの人が理解しているか…

ちなみに私は、
これらコーティングバレルは
一度は使いたいとは思っていますが、
あくまでも好奇心からで、
常用するバレルとはとらえていません。


特に、限定物は、
ソレを使いつぶした時に
新しいものを入手できないのは困ってしまいますから。

まぁ、限定物はコレクター用かなと 笑
Posted by 中年 at 2013年04月29日 10:08
中年様。

国内ブランドでコーティングモデルが常用できるぎりぎりのラインは、DMCのBronzeのみでしょうね、今の所は。
尤も、アレもいつまで続けてくれるかは謎ですが…

私の場合は、手触り重視でバレルを選ぶので、やはり限定品はメインにはし辛いですねぇ

まぁ、コレクションとしては、やはり買っちゃうんですけどね(^^;
Posted by note. at 2013年04月29日 16:31
「日立金属、冶金研究所ついに境界潤滑の原理を解明」
 機械設計屋ならわかるとおもうが、軸受などの設計に際し、従来の面圧を踏襲して40年もの年月が流れている、トライボロジー分野に画期的な理論「炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)」という画期的な理論を日立金属が発表した。鉄鋼材料と潤滑油の相互作用で出来た表面に付着しているナノレベルの炭素結晶の構造が滑り具合を決定しているとのこと。
 この理論に基づいて開発されている自己潤滑性特殊鋼SLD-MAGICの売り上げが一段と加速することが予想される。
Posted by 低フリクション at 2016年10月23日 14:34
オープンイノベーション熱望
Posted by メタルベアリング化成 at 2017年04月17日 20:20
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